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『ROTH BART BARON “8” ジュブナイル~8人の少年少女の夢〜』は、どのようにつくられたのか。
特別鼎談:三船雅也×清水恵介×安田大地

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L → R : 三船 雅也, 安田 大地, 清水 恵介

 ニューアルバム『8』の世界観を通常のミュージックビデオとは異なる手法で表現し、唯一無二の映像作品となった『ROTH BART BARON “8” ジュブナイル~8人の少年少女の夢〜』。

 8人の少年少女たちによる10編のショートストーリーが展開される今作は、「THE FIRST TAKE」「おかえり音楽室」のクリエイティブディレクターとして知られる清水恵介と、数多くの映像作品を手掛ける映像作家・安田大地によるタッグの手によって生み出された。

 1曲をひとつの物語にしていくという展開や、子供たちの顔のアップからカメラが引いていくと世界観が見えてくるという表現手法は、どのような過程を経て構築されたのだろうか。三船雅也、清水恵介、安田大地の3名を迎えて解き明かしていく。

ROTH BART BARON “8”

IMAGINARY KIDS

~8人の少年少女の夢〜

 8人の少年少女たちによる10編のショートストーリー。アルバムテーマ"ジュブナイル”とシンクロした映像が展開されるフル・アルバム『8』の新しい形のミュージック・ビデオです。

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「ジュブナイル」を表現する短編映像集がつくれたら

 

―このプロジェクトが始まるきっかけは何だったんですか?

 

三船:『8』をリリースするにあたり、プロモーションとしてどんなことができるかをバンドメンバーやスタッフと相談しているなかで、アルバムのテーマである「ジュブナイル」を表現する短編映像集のようなものを作ったらどうかという話になったんです。

 それで、誰に依頼したらおもしろいものがつくれるかを考えたときに、真っ先に浮かんだのが安田さんでした。2022年に「KAZE」という楽曲を<JR東日本「行き先は、新しい未来。」篇>に書き下ろし楽曲として提供させて頂いたのですが、そのときにご一緒させていただいて、すごくいい空気を感じたというか、ハモった感覚があったんですね。それで、またいつか何かしらのかたちで仕事をお願いしたいと考えていたので、白羽の矢を立てたという。

 清水さんは今回のプロジェクトで初めてご一緒させていただいたのですが、うちのスタッフが以前から懇意にさせていただいていて。しかも、安田さんとは学生時代の同級生ということだったので、二人にお願いしたらいいんじゃないかという結論になったんです。

清水:ありがとうございます。僕も安田くんもロットの音楽が大好きなので、依頼を受けたときは本当に光栄でした。

―制作はどのように進められたんですか?

清水:依頼を受けた後、安田くんに連絡して「すごく魅力的な話があるんだけど……」っていうところから2時間ほど話しました。

三船:2時間!?

 

清水:僕たち、めちゃくちゃ長電話する仲なんですよ(笑)。

 

―そのときはどういう話し合いを?

清水:ミュージックビデオ10本をひとつにまとめた事例は過去にあるかもしれませんが、少なくとも僕たちは10曲のために1本ずつ映像をつくったことはないので、「ジュブナイル」というテーマで10曲のための10遍の短編をつくるとして、どういう表現だったら成立するんだろうという話をずっと。ただ、その日だけではまとまらなかったので、それから毎日のように電話をして、8人の少年少女が登場する短編集をつくるというアイデアに辿り着きました。

 

安田:その段階で「子供たちの顔が1曲ごとに並ぶといいよね」っていう話はしていて。レコードとかCDが全盛だった頃って、アートワークを含めて音楽だったと思うんですよ。買った時点で聴く体験が始まっているというか。

 

三船:わかります。ジャケットの雰囲気から音楽を想像する瞬間ってありましたよね。

 

安田:そうやって想像が膨らむものにしたいと考えました。だから、映像的すぎないアプローチのほうがおもしろいと思ったんです。わかりやすい起承転結があると、それだけで物語が完結してしまうので。

 

清水:それに限られた時間のなかで10曲を表現しようとして、無理にいろんなものを詰め込みすぎると消化不良を起こすと思ったんですね。だから、ある種の制約をかけることで逆に世界観が広がる構成にしたいと考えました。それで今回、子供たちの顔のアップから始まり、カメラが引いていくとそれぞれの夢の世界が広がっているというフォーマットを採用しました。

 僕、映画を観るときに好きなシーンを静止画として切り取って写真のように覚えているのですが、その1枚から前後のストーリーを想像できるからなんですよね。それと同じように、今回の映像も子供たちの表情を見るだけで「この子はこういう子で」みたいなことが連想できるようにしたかったんです。

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子供たちの冒険譚を描きたかった

 

―先ほど少し話に出ましたが、今作では子供たちの夢が物語の舞台になっていますよね。なぜこの題材を扱おうと考えたのでしょうか?

清水:実は今回、資料として音源だけでなく、三船さんの好きなジュブナイル映画ベストテン10のリストをいただいたんです。

 

―映画のリストにはどんな作品を入れたんですか?

三船:『ET』や『スタンド・バイ・ミー』みたいなベタベタな王道はもちろん、フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』やアンドレイ・タルコフスキーの『僕の村は戦場だった』のような古典も入れたし、本当にいろいろ。でも、半分はひねくれてますね。今から思えば入れ忘れた作品もあって激しく後悔しているんですけど(笑)。

清水:新旧さまざまな作品が揃っていたのですが、どの作品も冒険がひとつのテーマになっていると思ったんです。それをどう描くかを考えた結果、夢の世界がいいんじゃないかという話になりました。

安田:そのうえでトリガーとして登場させたのが8のシンボルです。この存在との出会いをきっかけに子供たちの物語が始まり、最後に別れがあるという構成になっていて。個人的には1冊の絵本のような感覚があります。表紙と背表紙があって、ページをめくるごとに8人それぞれの物語が展開されるイメージです。

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―では、夢の内容はどのように決めていったんですか?

清水:キャスティングの際に同時進行で固めていきました。国籍はもちろん、性別や年齢などのバランスも考慮しつつ、それぞれに最適なものを当てはめています。

安田:『8』の音源を聴いたとき、少年時代の思い出を真空パックに閉じ込めているような感覚があったんですね。それもあって、自分の記憶と結びついたビジョンをそのまま映像化すれば間違いないという確信めいたものがありました。だから、あまりロジックでは考えていなくて。コンテも思い浮かぶままに描いています。

清水:感覚を大事にするっていうのは、僕や安田くんだけでなく、スタッフ全員が暗黙的に認識していたことかもしれないですね。仕事をしていると「それは違う」とか「もっとこうしたほうがいい」とか、意見が食い違うこともあるじゃないですか。だから、ときに説明が必要になるわけですが、そういうことが今回のプロジェクトにはまったくなくて。それができたのは、楽曲の存在が大きくて。説明が難しんですけれど、包み込まれる感覚があったというか。『8』というアルバムが生み出す世界のなかで、みんなが同じものを見ていたんじゃないかっていうぐらいに認識を共有できたんですよね。そんなふうにチーム全員が直感的に動けたことは今までなかったので、不思議な体験でしたね。

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他人にとってはどうでもいいことにこそ、価値がある

―今回の映像を観たときに、子供ながらの恐怖のようなものを感じたんですね。たとえば「少年アベルの見た夢」では、空に巨大なタコの足が現れるじゃないですか。もしかしたら、彼にとってタコは身近に存在する得体のしれないもので、だからこそ恐怖の象徴であり、木の枝を持って戦っているんじゃないかなと。そういうことも考えたのでしょうか?


安田:子供の頃って自分の生活する範囲のことしか知らないから、その外側に神秘性を求めるような気がして。恐怖って裏を返せば魅力でもあるじゃないですか。僕自身、子供の頃によく怖い夢を見ていたんです。たとえば、箱を開けたら自分が入っているとか、後ろを振り向いたら自分がいるとか。それも子供の頃はものすごく怖かったんですけれど、大きくなるにつれてむしろ惹かれる感覚があって、むしろ見たいなと思うようになって。今回の映像にもそういう感覚がちょっと滲み出ているのかもしれません。


三船:子供の頃に本気で怖かったものも、大人になると理屈で理解するようになるじゃないですか。それで怖いものが段々と減っていくと思うんですけれど、ものづくりをする身としては怖いものをちゃんと怖いと思える感性があったほうがいいと思うんですよね。ギレルモ・デル・トロとかそうじゃないですか。人間が怖いと思えるものを何歳になってもつくれるっていう。そういう感覚を磨く作業はしているつもりだし、忘れちゃいけないですよね。


安田:怖さに限らず、子供の頃っていろんな空想をしますよね。僕は学校の帰り道に石ころを蹴飛ばしながら帰ることが多かったのですが、その石ころが次第に自分の分身のように思えてきて、なんとしても家まで連れて帰れないといけないという使命感を抱く瞬間があって。でも、明確な理由があるわけじゃないんですよ。ものすごく突発的というか、なぜかそのときにそう思っただけっていう。そういう子供ならではの感覚みたいなものを可能な限り映像に反映したいなと考えていました。

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清水:安田くんの話に近いエピソードだと、僕は石を等間隔に並べるのが好きで。ただ、それも無意識に近い状態でやっていたから、理由を聞かれるとうまく答えられないんですけど(笑)。三船さんもそういうことはありましたか?

三船:むしろ、そういうことばかりでしたよね。特に十代の頃は、自分にしかわからない世界だけで生きていたというか。中学生くらいになると共通の話題が増えるじゃないですか。ゲームとかアニメとか漫画とかって。で、みんなと話しているときは共有している振りをするんですけど、本当に好きなことについては話さないっていう。

 安田さんにしても清水さんにしても、それぞれの石の価値は本人にしかわからなくて、傍から見ればどうでもいいことなんだけれど、だからこそ価値があると思うんですよね。特に今の世の中は、AIが膨大な量の情報を学習して、瞬時に正解を導き出してくれるようになっているわけで。そういう時代において人間が生み出せる価値って、自分にしかわからないキラキラを探すことしかない気がしていて。「この公園のこの遊具の鉄の質感が謎に好き」みたいな感情ってAIには理解できないと思うんですよ。

安田:それでいうと、映像に出てくる8のデザインもウルトラマンみたいな質感がいいなと思ったんですね。ミニマルすぎて未知のテクノロジ―に見えるようなものにしたいなって。仕上がったものについて三船さんから「ウルトラマンっぽいですね」と言われて、伝わったなと思いましたね(笑)。

三船:そうなんですよ、ちょっと特撮感もあって。これがヌルヌルのツヤツヤの質感だったらまた違った印象になりますもんね。ちょっとした違いなんでしょうけど。

登場人物を顔の見えない匿名にはしたくなかった
 
―今回の映像には短いあらすじも一緒に載せられていますよね。これも映像の世界観を広げるうえで大きな役割を果たしていると感じたのですが、どのように制作されたのでしょうか?

 

清水:僕がいつも一緒に仕事しているコピ―ライタ―に連絡して、デヴィッド・リンチの映画をテレビで放映するときのラテ欄になるぐらいの雰囲気で書いてほしいとお願いしたんです。そうしたら、ふたつ返事で「OK!」って。それで届いたのが、あの文章で。

TRACK.1 / Kid and Lost -「飛行物体(8)との出会い」 ある日、8人の少年少女のもとに降り立った謎の飛行物体(8)。ぐるぐると回転する(8)に吸い寄せられるように、彼らは出鱈目な夢の世界に入り込むこととなる。

 

TRACK.2 / BLOW 「少女エマリーの見た夢」 少女エマリーは、かねてよりドッペルゲンガーに会ってみたいと思っていた。だが、その願いが叶えられたのと引き換えに、自分の中の何かが失われ、違ういきものにかわってゆく妙な感覚を覚える。

TRACK.3 / Boy 「少年アベルの見た夢」 少年アベルは、木の枝で戦う。彼を他の誰かに当てはめようとしてくる世界と。偽物みたくなってしまうのは、一番避けたい未来だからだ。

 

TRACK.4 / 千の春 「少女スカイラの見た夢」 少女スカイラは、一年をずっと秋にする方法を探していた。花粉症に悩まされる何千回もの春と、手足のかじかむ何千回もの冬には、いい思い出がひとつもないから。

 

TRACK.5 / Exist Song 「少年ソラの見た夢」 少年ソラは、輪廻転生のループに入り込む。前世の記憶は、生まれ変わった次の瞬間には忘れてしまうけど。永遠と繰り返される世界には、無力感だけが横たわっている。

 

TRACK.6 / Ring Light 「少年ミツキの見た夢」 少年ミツキは、無数のドアの前で立ち尽くす。 どこかへ逃げ出したいけど、どこへ逃げたらいいのか分からない。そうだ。目的地を決めること、それすらからも逃げだしてしまおう。 

 

TRACK.7 / Closer 「少女レイチェルの見た夢」 少女レイチェルは、恋の病にかかっている。複雑にこんがらがった花に埋もれながら。君のためなんかじゃない。今はただ思い出に浸っていたいのだ。

 

TRACK.8 / Krumme Lanke 「少女アリッサの見た夢」 少女アリッサは、幽体離脱の真っ最中。軋んだ氷の音に身を委ねているような心地よさが、彼女の全身を覆い尽くす。

 

TRACK.9 / MOON JUMPER 「少年レオンの見た夢」 少年レオンは、宇宙飛行士を夢見ていた。地面を強く蹴ったら、衛星が彼の頭上に落ちてきた。月面に行くことは、意外と簡単なことを知った。

 

TRACK.10 / NIN / GEN 「飛行物体(8)との別れ」 ぐるぐると回転するのは、UFOか、ドーナツか。いや、飛行物体(8)だ。まるで僕ら人間みたいと、少年少女は夢から目覚めていく。

三船:確かにリンチっぽいシュ―ルさがあるかも(笑)。


安田:僕たちがつくった映像に対して、三船さんはこんな世界が広がっているんだと感動したと言ったじゃないですか。それと同じようなことをコピーライターから送られてきたあらすじを読んだときに思いました。


清水:あらすじを書いたコピーライターも、それを英訳したコピーライターもロットの音楽が大好きなんですよ。
 
―ちなみに、8人の少年少女たちの名前もコピーライターの方が?


清水:実はあれ、子供たちの本人の名前なんですよ。仕事をしていると「20代」「キャリアウ―マン」「女性」みたいなターゲッティングをすると思うんですけど、そういう顔の見えない匿名って誰でもないじゃないですか。でも、名前があると物語が生まれるんですよね。今回、ポートレイト的にやりたいと考えたのは、そういう狙いもありました。考える余白があるからこそ、観た人が主人公になって自分だけの物語を始められたらいいなって。
 僕が好きなチェリ―・ゴンザレスというピアニストは、ライブ中にひとりの観客にスポットライトを当てるんですね。そんなことを急にされても、当てられた本人は意味がわからないじゃないですか。戸惑うし、笑いも起きる。でも、しばらく演奏を聴いていると、なんだかその観客に贈られた楽曲のように思えてくるんです。すごくおもしろい演出だし、そうやって楽曲と人の組み合わせによって物語が生まれるっていうのは、目指したところでもあります。

強烈な連続パンチを受けたような衝撃
 
―完成した映像を観て、三船さんはどんなことを感じましたか?

三船:泣きながら握手しましたよね。試写会のときに初めて観させていただいたのですが、もう映像が始まった瞬間に、どれくらい楽曲を聴き込んでくれたのかとか、どれくらい細部にまでこだわってくれたのかとかがわかるんですよ。たとえば、子供たちが僕がリストに上げた映画の主人公の衣装を着ていたり、映像の色味をアルバムの写真のトーンに揃えていたりって。

 こういう映像作品って、雰囲気はあるけど何を伝えたいのかよくわからないっていうことも多いじゃないですか。でも、今回の映像はそれがないんですよ。投げっぱなしかもしれないし、断片的かもしれないけど、きちんと着地している。だから、一つひとつの映像は15秒と短いんだけど、そこでは語られていない物語をきちんとイメージすることができて、あんなに強烈な連続パンチを食らったことはないってくらいの衝撃でした。
 正直な話、プロモーションの準備をしている時期ってすごくナイーブになるんですよね。合格発表を待つ受験生の気持ちに近いというか。やれることはやったつもりだけど、それが結果に結びつくかどうかはわからないから。そういう不安がつきまとうなかで、天からカンカンカンカンって祝福の鐘が鳴り響くような気持ちになりました。
あと、自分がつくった楽曲の違う表情が見えたのが嬉しかったですね。自分の曲なんだけど、自分の曲じゃない感覚というか。音楽を通して僕が表現したかったものが、映像と合わさることでまた違った彩りをまとっているんですよ。

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―三船さんは身近な出来事を題材に曲づくりをすることが多いじゃないですか。そういう小さなきっかけから生まれた楽曲が、何かの弾みで一気に世界観を広げていくのはおもしろいですよね。

三船:本当に。今回のアルバムに入っている『Ring Light』(M-6)もまさにそうで。ドイツに引っ越したばかりの頃、友達もいない状況だったから、近所のコーヒー屋さんによく通っていたんです。そしたら話しかけてくれる人がいて一気に仲よくなったのですが、ある日の会話のなかで「14歳の娘に自撮り用のリングライトがほしいと言われて買ったんだよ。それが私と娘をつなぐ唯一の接続点なんだ」って言うんです。それで子供と大人が輪でつながるのはおもしろいなと思ったところから着想を得てつくったんですけど、そのときは自分では想像もしなかった壮大な世界観が広がることになるとは思ってもいませんでしたから。

 

―楽曲が力を溜め込んでいくような感覚もあるのでしょうか。

三船:存分にあると思います。当たり前ですけれど、最初は僕の気持ちしか乗っかっていないんですよね。それにひとりでギターをポロポロ弾きながら作曲しているときは「また地味な曲をつくってしまったな」とか思うし、ライブで大合唱が起こるなんて想像もしていないわけですよ。もちろん、そうなったら嬉しいなっていう願望はありますけど。

 いろんな人の思いが重なることで元気玉みたいに大きくなって、僕自身も最初に抱いていた気持ちが思い出せないくらいにまったく違う気持ちで歌っていることもあって。でも、それこそ音楽をつくる醍醐味だし、おもしろさがありますよね。

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―それでいうと、清水さんと安田さんのパワーも溜め込まれてたわけですよね。

三船:それはもちろんだし、今回のプロジェクトに参加してくださった全員の気持ちがめちゃくちゃ乗っかっていますよね。直接お会いしたことはないのにつながってるような不思議な感覚があります。

 

―今の三船さんの言葉を受けて、清水さんと安田さんはいかがですか?

清水:自分自身がライブのときにどんなふうに聴くのか興味はあるのですが、それ以上に周りの人たちがどういうふうに聴くのかが気になりますね。ライブって、この人はこういう経験があるからこの曲をこういうふうに感じる、みたいな一人ひとりの想いが集まる場所だと思うんです。

 実際にその人がどういう気持ちで聴いているのかは、本人に聞いてみないとわからないですけれど、そういう一人ひとりの想いが集まったときに生まれるうねりのなかに自分の身を置いたら、どう感じるんだろうって。今から楽しみですね。

安田:ちょっと意味合いは違うのかもしれないですけど、三船さんと初めてご一緒したときに作曲していただいた「KAZE」という楽曲は、最初に聴いたときもすごく感動したのですが、アルバムに収録されているバージョンを聴いてものすごく驚かされたんですね。その振れ幅というか、増幅の仕方がとてつもなかったので、今回もそういう変化が起きるのを期待しています。

三船:本当にありがたいことです。いろんなクリエイターに支えられてロットの音楽はあるんだなと思います。だからこそ、いい化学反応をもっと起こしていきたいですよね。

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取材・文:村上 広大|Kodai Murakami

撮影:金本 凜太朗|Rintaro Kanemoto

​スタジオ:Yellow Toes Gallery

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